犬がミネラルウォーターを飲んでも大丈夫
「犬の飲み水として、ミネラルウォーターを飲ませてもよいのかしら?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。
結論からお伝えしますと、犬にミネラルウォーターを飲ませても大丈夫です。
ただし、積極的に継続してミネラルウォーターを飲ませたほうがよい、ということではありません。特別な場合に限ってなら、犬に飲ませても病気になることはないので安心してください。
例えば、外出した先でどうしても清潔な水が手に入らないが、犬が喉の渇きを訴えている、といった場合は、飼い主様の手持ちのミネラルウォーターを飲ませてもよい、という程度にお考えください。
犬がミネラルウォーターを飲む良し悪しは証明されていない
獣医さんによっても犬にミネラルウォーターを飲ませてもよい、悪い、と意見が分かれていますが、特に良し悪しの根拠となるエビデンス(データによる客観的な証明)はないようです。
それでも犬にミネラルウォーターを飲ませたらいけない、という情報があるのは、ミネラルウォーターに含まれる成分が犬の体に悪いのでは?という考えに基づいています。
ミネラルウォーターと水道水の違い
ミネラルウォーターの最大の特徴は、ミネラル分を多く含んだ弱アルカリ性や弱酸性(pH5.8~7.8程度)の水であることです。
ミネラルウォーターには、カルシウムやマグネシウムを始め、カリウム、ナトリウム、重炭酸塩(重曹)などが含まれています。
ミネラルウォーターの製品によって幅がありますが、カルシウムは1L中に2~530mgほど、マグネシウムは3~240mgほど、ナトリウムは5~1,840mgほど含まれています。
一方、水道水質基準に適合した水道水は、pHは5.8~8.6以下に定められています。
カルシウムとマグネシウムは、いずれも1L中に10~100mg以下、ナトリウムは1L中に300mg以下に留めるよう規定されています。
わかりやすいように、ミネラルウォーターと水道水1L中に含まれる3つのミネラル成分の量を見比べてみましょう。
カルシウム
マグネシウム
ナトリウム
ミネラルウォーター
2~530mg
3~240mg
5~1,840mg
水道水
10~100mg以下
10~100mg以下
300mg以下
水道水とミネラルウォーターのカルシウム、マグネシウム、ナトリウムの含有量を見比べると、ミネラルウォーターのほうが水道水よりも多く含まれる可能性があることがわかります。
犬にとってミネラルウォーターは最適ではない
犬が生きていくために不可欠な水ですが、ミネラルウォーターは決して犬の飲み水として最適ではない、と考えます。
その理由は、ミネラルウォーターに含まれるミネラル分をわざわざ犬に与える必要がないことと、逆に継続して与えることによる若干の悪影響を感じるからです。
野犬など本能が強く残っている犬であれば嗅覚を頼りにして、その時々の体調に応じた水を探すことができますが、さすがに家庭犬に同じ能力を求めることはできません。
ワンちゃんの代わりに、今どんな成分が入っている水を欲求しているかを飼い主様が感じ取ることもできませんよね。
ですから、ミネラルが多すぎる可能性のあるミネラルウォーターよりも、基準値内に留めてある水道水のほうが、毎日飲ませる水として「無難」である、と判断します。
犬の体にはミネラル分は欠かせませんが、ミネラルウォーターの豊富なミネラル分が悪さをすることもあります。
例えば、ストルバイト結石を患っているワンちゃんの場合、マグネシウムは適正に制限されていますし、重い腎臓病のワンちゃんにはナトリウム摂取制限がされています。こうした病気を抱えているワンちゃんには、ミネラルウォーターを与えないようにしましょう。また、マグネシウムやカルシウム、リン、pHなどのバランスが整っているドッグフードや療法食を食べさせている場合も、ミネラルウォーターを飲ませないほうがよいでしょう。
愛犬にはミネラルウォーター以外を!
犬に毎日与える水として水道水は確かに無難ですが、農薬などの残留成分を除去するために、できるだけ浄水器を通した水道水を飲ませたほうが安心です。
また、カルキが気になる!という場合は、一度沸騰させて自然に冷めた「白湯」を飲ませるのもよいでしょう。
服薬中のワンちゃんや、できるだけミネラル分を水から摂らせたくない!という場合は、「純水」を飲ませてあげてください。
有機物や細菌が除去されているので、水道水よりも菌の増殖が穏やかであることや、ドッグフードをふやかす水として使えばミネラルバランスを壊さない、というメリットもあります。
純水はペットボトルでも販売されていますが、飼い主様も含め贅沢に純水を利用するなら、純水製造装置を購入するのがおすすめです。
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